審判員の憂鬱。
今日の日本×タイを観戦する方も多いと思いますが、その前に先日のUAE戦で話題になったサッカーのジャッジに関して豆知識です。
他のスポーツでは当たり前になっているチャレンジシステムやビデオ判定が、サッカーでは未だ導入されていない理由をまとめてみました。
試合毎やハーフタイムに楽しんでもらえればなによりです。
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まずはゴール判定について。
シュートがゴールラインを割ってるか割ってないかの判定は基本的に副審(ラインズマン)が行います。
ゴールの場合は旗を上げて主審に判定を知らせるのですが、タッチライン(サイドライン)に立っている副審では際どいゴールは見逃されてしまう事もしばしば。
ボールが地面に付いたならまだしも、今回の浅野選手のシュートのように宙に浮いてるボールだととても判断が難しいです。
もちろんゴールには入ってましたが、審判からは見えづらいだろうなと思います。
最近のケースだと、2010年南アフリカW杯のドイツ×イングランド。
イングランドのランパードが放ったシュートがクロスバーに当たりゴールラインを割ったものの、ノーゴールの判定。
『世紀の大誤審』と世の中を賑わせます。
そこで、2014年のブラジルW杯から導入されているのが、ゴールラインテクノロジーという機会判定のシステムです。
英国の企業が開発した『ホークアイ』、デンマークとドイツの企業が開発した『ゴールレフ』という2つのシステムが採用されています。
テニスではすでに採用されているので、テニス好きの方にはおなじみだと思います。
ゴールラインテクノロジーの画面↓
複数のカメラでゴールを撮影して、ゴール判定を主審の腕時計に伝えるこのシステム。
導入するのにかかるお金が1600万円程度との事。。
W杯予選の全てのスタジアムに導入するとなると、なかなか難しいのが現実です。
現在はW杯本大会やクラブW杯といった大きな大会でしか採用されていません。
(ちなみにホークアイを開発した英国の企業はソニーの傘下だそうです。)
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そこで、主審、副審(ラインズマン)の他にゴール横にゴール判定をする副審を追加する事で対応しています。
現在セリエAではすでに採用済みで、J3でも試験的に採用されています。
UAE戦後の本田選手が『なぜ副審がいないのか分からない』と答えてましたが、イタリアでは正式に導入されているので、疑問に思ったのかもしれないですね。
しかし、これも国際試合を裁けるライセンスを持った審判員がたくさん居るわけではないので、人員の確保など課題が多くてなかなか全ての試合に対応できないのが現状らしいです。
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最後にチャレンジシステムですが、すでにFIFAでは検討されています。
しかし、サッカーは野球やテニスと違ってプレーの切れ目がないのでチャレンジを取るタイミングや方法、チャレンジ後の再会方法などまだルール整備に時間がかかりそうです。
対象にする反則もどこまでにするのか決めなきゃキリがないですしね。
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サッカー界が遅れてるとか利権の問題が絡んでるとか色々ネット上では言われてますが、サッカー界が何もしてない訳じゃないですし、ゴールラインテクノロジーもすでに2社に決まっているので、利権どうのは関係ありません。
ただ、こうして議論が巻き起こる事でゴールラインテクノロジーの導入や、チャレンジシステムの整備が早まったり、お世辞にも高いと言えないアジアの審判のレベルが向上してくれると良いですね!
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サッカーの審判員で、プロとして活躍している人は日本人でたったの14人との事。
海外でもほとんどの審判員が、教師や銀行員など副業として活動してる方がほとんどです。
厳しい筆記試験や体力テスト(調べると、150m走を30秒以内、50m歩を35秒以内のセットを×20セット!)を乗り越えた審判員。
トップアスリートのスピードに追いつきながら、正当なジャッジを下さなければいけない審判員。
一度誤審をすると国中から叩かれ、文句は言われど褒められ事の少ない審判員。
自分がもし審判員になったとしたら、プレッシャーに押し潰されそうです。。
こうして審判に注目してサッカーを見ると気軽に文句も言えなくなりそうですね 笑